2013/06/25

追悼とハプニング

 ここのところスコールのような大雨がピンポイントで降ることが多いですね。先日のライブの日もまさにそういう天気で、そんな中たくさんの方に聴きにきていただけて大変嬉しく思います。どうもありがとうございました!

 今回のライブは、共演のクラリネット奏者、山根孝司さんの恩師であるボイケンス先生の追悼のため企画されたものでした。ボイケンス先生は長く闘病生活を送っていらっしゃったのですが、「演奏できなくなるくらいなら生きていも意味がない。」という強い意志のもと、安楽死を選ばれたそうです。

 日本で法的に認められていない安楽死は、残される者をとても複雑な気持ちにさせます。でも、会いたい人にはきちんと会って最後のお別れをして、苦痛を感じずに逝くというのは、理想の形でもあるかもしれません。それが法的に認められて人々の理解を得ているのは、個人を尊重する歴史があるからこそなのでしょう。

 そんな大事なライブだったにも関わらず、当日は今までに経験したことがないハプニングが発生してしまいました!実は今回のピアノはこの春に低音の弦が切れて新しい弦を張ったそうなのですが、そのキーの音程がかなり狂った状態になっていて、当日リハーサルを始めてみたらほとんど四半音(半音のさらに半分の音程)低くなっていたのです。慌てて知り合いの調律師さんに連絡したものの、専門の工具がないと音程を直すことはできず、しかも運の悪いことに、今回のプログラムでは8曲中5曲がその音から始まり、曲中でも何度となく使用するキーだったため、急遽オクターブを変えたり、その音を弾かずにどうにかやり過ごしたりと、非常に気を使うことになってしまいました。おかげでリハーサルは全然集中できなかったのですが、どうあがいても仕方がないことなので、本番は腹をくくってできるだけの対応をしました。楽譜にはその音だけ青いマーカーで印をつけていたので、私の真後ろの席のお客様には真っ青な楽譜の書き込みが見えたのではないかと思います。これまでにも鍵盤が下がったままだとか、弦が切れたままだとか、グランドピアノの脚が1本折れてて斜めに傾いているとか、いろんなピアノを弾いてきましたが、今回のは今までで一番しんどいハプニングでした。

 でも、山根さんの演奏は素晴らしく、それに自然と引っ張っていただけて、音楽的にはとても集中して演奏できたと思います。たまに音程の狂ったキーに触ってしまって、出てくる音の気持ち悪さにびっくりしてミスをすることもありましたが、こういうハプニングを乗り越えて少しだけ成長できたような気がします。かと言って、もう一度音程が狂ったピアノで本番を迎えたいかと聞かれれば、絶対にノーですが!

 写真はある大学の中庭に放置されていたテューバ。長年雨風にさらされて真っ黒で、まるで古老のような渋さを感じさせます。きっと音はもう出ないだろうけれど、このままオブジェとして皆に愛されるのもいいし、潔く金属の塊に戻るのもいいのかなと、なんとなく人になぞらえて考えてしまいました。

2013/06/20

暑いときには・・・

 台風の影響もあって被害の出ている地域もあるようですが、皆さんがお住いのところは大丈夫でしょうか?

 関東は梅雨入りしてからも雨の量が少なくて、蒸し暑い日が続いてます。暑いのが苦手な私にはちょっと辛いですが、そんなことばかり言っていられないので、冷たいものでクールダウンして頑張ります!

 写真は赤福氷。甘めの抹茶シロップがかかった氷の下には、伊勢名物の赤福が2つ隠れています!普通の赤福とは製法を変えているそうで、あんもおもちも氷の下でも柔らかく、とっても美味しかったです!この氷は赤福茶屋という赤福直営の喫茶店でしか出していないので、近畿・東海地方を訪れた際にはぜひ食べてみてくださいね!ちなみに私は名古屋で仕事の合間に食べに行きました。

 さて、明後日には天眞庵での本番があります。忙しくてなかなか大曲にじっくり取り組む時間を取れないのが悩みですが、音楽家の方はどなたもそういう状況の中で自分の演奏を作っていくので、残りあとちょっとの時間、音楽に真摯に向き合おうと思います。

MUSICA LIBERTA TOKYO
 Live at 天眞庵! Vol.17

クラリネット:山根孝司
ピアノ藤田朗子

曲目:
ドビュッシー/第一狂詩曲
ブラームス/クラリネットソナタ第2番 作品120-2
ピエルネ/カンツォネッタ
ゴーベール/ファンタジー
デ・ブック/即興曲
モーツァルト/「クラリネット協奏曲 作品622」より第2楽章
ウェーバー/「グランドデュオコンチェルタント」より第2・3楽章
ルトスワフスキ/舞踏前奏曲

日時:6月22日(土) 19時開演(18時半開場)
会場:長屋茶房「天眞庵」(131-0044 東京都墨田区文花1-6-5)
料金:5000円(お酒・肴・蕎麦・珈琲付き)
お問い合わせ:長屋茶房「天眞庵」(090-2673-5217 12時-19時 水・木曜休)
Web:http://tenshinan.jp/

 以前お知らせしたプログラムに、モーツァルトのクラリネット協奏曲第2楽章が加わりました。モーツァルトの協奏曲はたくさんありますが、クラリネット協奏曲は本当に大好きな素敵な曲です。

 モーツァルトの最後の交響曲は第41番「ジュピター」で作品551、最後のピアノ協奏曲は第27番で作品595、オペラ「魔笛」ですら作品620。クラリネット協奏曲はモーツァルトの最晩年の作品だけあって、すでに老練の域に達している美しい作品です。この作品の数曲後には未完の遺作となった「レクイエム」があり、わずか35歳の若さでモーツァルトは帰らぬ人となりました。

2013/06/01

永遠に巡る環の中で

 スーパーなどで青梅を見かける季節になりましたね!アルコールが全く飲めない体質にも拘わらず、気まぐれで漬けた梅酒が一向に減らないのですが、懲りずに今年は梅シロップを作ってみようかとワクワクしている今日この頃です。

 さて梅雨入りしてちょっとじめじめしていますが、ネギさんは相変わらずお気に入りの毛布の上にいることが多いです。この夏は仕事で1週間ほど家を留守にすることになり、とうとうネギのお世話をペットシッターさんに頼むことになりそうです。

 ペットホテルは全くダメになってしまった臆病なネギのこと、シッターさんとうまくやっていけるか心配だったのですが、顔合わせに来てくれた女性はとっても優しく猫の扱いにも慣れていて、ネギが今までにないくらい早く打ち解けたので、このままお願いすることになりそうです!でも夏の本番前に一度1泊2日くらいのトライアルをしてみないとなー。また音楽祭の最中に呼び戻されることのないように、今回は入念に準備しますよ!

 ところで、3月にご一緒させていただいたクラリネット奏者の山根孝司さんと、近々また共演させていただくことになりました。会場も3月と同じ天眞庵で、先日お亡くなりになった山根さんの先生に捧げるコンサートです。

MUSICA LIBERTA TOKYO
 Live at 天眞庵! Vol.17

クラリネット:山根孝司
ピアノ:藤田朗子

曲目:
ドビュッシー/第一狂詩曲
ブラームス/クラリネットソナタ第2番 作品120-2
ピエルネ/カンツォネッタ
ゴーベール/ファンタジー
デ・ブック/即興曲
ウェーバー/「グランドデュオコンチェルタント」より2・3楽章
ルトスワフスキ/舞踏前奏曲

日時:6月22日(土) 19時開演(18時半開場)
会場:長屋茶房「天眞庵」(131-0044 東京都墨田区文花1-6-5)
料金:5000円(お酒・肴・蕎麦・珈琲付き)
お問い合わせ:長屋茶房「天眞庵」(090-2673-5217 12時-19時 水・木曜休)
Web:http://tenshinan.jp/

 自分の年齢が上がるに連れ、お世話になった先生方も高齢になり、悲しいお別れが増えてきました。でも、先生方に教わったことは自分の中に脈々と流れていて、その人がいなくなってしまっても、そのスピリットは私の中にとどまり続けます。それはこれからも生徒さん達に受け継がれて永遠に音楽の中に存在するし、その環の一部に自分がいることをとても幸せに思います。