ここ数年8月には「軽井沢国際音楽祭」か「秋吉台の夏」のどちらかに参加していますが、両方に参加したのは久しぶり!暑かったせいもあってかなり大変でしたが、なんとか無事に終えることができました。
「秋吉台の夏」は秋吉台国際芸術村という素晴らしい施設で毎年8月に行われている現代音楽の音楽祭です。今回も作曲家講師陣によるレクチャーやレッスン、演奏家によるフリーディスカッションなど盛りだくさんの内容で、毎晩開かれるコンサートは首都圏でもなかなか聴けないプログラムが満載!私の担当はフリーディスカッションとコンサートだけでしたが、とても充実した毎日に受講生の皆さんが生き生きしていて、大変な思いをして準備した甲斐があったというものです!
芸術村には素晴らしい響きのホールがあって、今回私がそこでのコンサートにと選んだ作品は、ホールの響きに合いそうなミュライユの「別れの鐘と微笑み」というピアノソロ。この作品はミュライユがメシアン追悼のために書いた小品で、大小様々な鐘のモチーフが何重にもなって響く美しい作品です。予想通り芸術村のホールに鐘の響きが広がって、弾いていても気持ち良かった!他にイサン・ユンのヴァイオリンとピアノのための「Gasa」、カーゲルの声と器楽(今回はテューバ・ヴィオラ・ピアノ)のための「Rrrrrrr...」を演奏しました。「Gasa」はイサン・ユンのどの作品にも言えることですが、内容的にもアンサンブル的にも非常に厳しい作品です。ものすごい緊張感が必要とされるので、それがうまくいけば迫力のある演奏に、失敗すればヒステリックなだけの演奏になってしまうのですが、今回はうまくいったんじゃないかな?カーゲル作品の演奏には「調律のあっているピアノ、または調律の狂っているピアノで」という指示があり、今回は調律していなくて若干ミョンミョンと変な音がしているピアノを使いました。4曲目は蒸気機関車での旅の歌で、汽笛や機関車の駆動音をCDで流しながら、楽器のリペアを本業としているスタッフさんに急ごしらえで作っていただいたベルを鳴らしたりと、目にも楽しかったのではないかと思います!
他にもたくさん興味深いプログラムを素晴らしい演奏家の皆さんが演奏されましたが、今年の目玉の女声合唱団「暁」のコンサートは吸い込まれそうに美しい前半のプログラムと、とっても楽しい後半のプログラム、どちらも本当に素晴らしかった!今年のテーマは「声」ということでしたが、やはり人に一番うったえるのは人の声なんだなと改めて思いました。「暁」には声楽専攻の方だけでなく器楽や楽理の方もいらっしゃるそうで、私もあんな風に歌えたら楽しいだろうなと思いました。
この音楽祭に私は留学中から関わらせていただいていて、初参加からなんと今年で10年目!そこに関わる方々とはもう家族のような感じで、私にとってはとても居心地の良い音楽祭です。現代音楽は一般のお客様には馴染みがないし、場所柄首都圏の現代音楽ファンも呼びにくい。さらに地元でも車がないと辿りつけないような立地条件で、良くも悪くもこじんまりとしていますが、ずっと続いていって欲しい音楽祭です。ピカソもサティも生前は評価してもらえなかったように、時代の最先端を行く芸術というのはなかなか受け入れてもらえません。それでも私たちは続けていきます。未来の音楽界のために、というのもあるけれど、結局のところ、自分が好きだから。
写真は芸術村のお庭の一角。最近はガーデンウェディングなんかも行われているようで、色とりどりの花が咲き乱れていました。整然と植えられているのも綺麗だけれど、イングリッシュガーデンも素敵です!
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