2013/01/19

収録は緊張する!

 昨年の秋は一般公開の本番の合間にそうでないものも多数こなしていました。そのうちの一つがNHK-FMの収録で、本田聖嗣さんがナビゲーターを務める「NHK-FM リサイタル・ノヴァ」に、デュオのあいかたでもあるテューバ奏者の橋本晋哉が出演することとなり、私もその伴奏で参加させていただきました。

 「NHK-FM リサイタル・ノヴァ」は昨年春から始まった新しいプログラムで、前番組の「NHK-FM 名曲リサイタル」と同じく若手演奏家のハーフリサイタルを放送していますが、以前と比べて一番変わったのはトークタイム。前はお客様を入れての一発録音ということもあり、1日に放送される2組のリサイタルの合間にインタビュー形式の短いやり取りがあっただけでしたが、新しくなってからはお客様を入れず、支配人と呼ばれるナビゲーターがゲストと1対1で音楽にまつわるトークを展開します。そのトークにあわせてプログラムもより個人的なものを選べるようになったので、今回橋本は4曲中2曲に現代曲を選びました。トークには橋本のみが参加していますが、ナビゲーターの本田さんとは橋本も私も留学時代からの友人なので、その分他の出演者よりも親密なトークが聞けるのではないかと思います。

《 NHK-FM リサイタル・ノヴァ 》

テューバ:橋本晋哉
ピアノ:藤田朗子

曲目:
シューマン/アダージョとアレグロ
ドビュッシー(橋本晋哉編曲)/変わり者のラヴィーヌ将軍
川島素晴/3つの習作
山本裕之/輪郭主義Ⅰ

日時:1月27日(日)20時20分~21時

 シューマンの作品はもともとホルンとピアノのために書かれたものですが、今では他の多くの楽器で演奏されます。演奏される機会も多くクラシックファンにはおなじみの曲ですが、その分一番音楽的に苦労しました。ドビュッシーの作品はもともとピアノソロの曲ですが、低音部のおどけたメロディがテューバにぴったりで、演奏していても聴いていても楽しい1曲です。

 邦人作曲家の2曲はいわゆるバリバリの現代曲。川島さんの曲は賑やかで楽しく、テューバとピアノのあらゆる奏法を駆使しています。3曲目にはテューバ・ピアノ両パートに声やハンドクラップなどの指示があり、演奏している方はてんてこ舞いです。対して山本さんの曲は特殊奏法を一切使いませんが、とても集中力を要する作品です。この曲では1拍を3等分・4等分・5等分したリズムが同時進行し、縦がほとんどかみ合いません。加えてテューバは半音のさらに半分の音程である四半音を演奏しているため、ピアノとの音程もかみ合わず・・・。その中でそれぞれの声部が似たようなラインを描くことにより、まるで輪郭がぶれているようなずれが曲中続きます。

 今回のプログラムは今までに演奏したことがある曲ばかりでしたが、収録はやっぱり緊張します。以前のような一発録りではないものの、収録で完璧を目指すと何度録り直してもどこかが気になってしまうんですよね。写真はスタジオの収録風景。マイクがあるだけで緊張してしまう私には、1回演奏して終わりの普段のステージが向いているみたいです。

3 件のコメント:

  1. 遅ればせながら、 
     
     あけましておめでとうございます! 

     今年も藤田さんの音楽に向き合えることの幸せを感じます。

     NHKの収録、お疲れさまでした。録音は藤田さんや橋本さんの音楽の魅力を100%記録できるものではないけれど、藤田さんや橋本さんの音楽を100年後の人達にも聴いてもらうには重要な作業なのだと思います。
     現に、録音という技術があるおかげで、サラサーテの弦の音を、その片鱗だけでも一世紀後の今、再現出来るのですからね。
     この放送、エア・チェック(死語!)しますよ。僕が録音して100年後の音楽好きの人達に伝えます。(笑)
     意図された音楽の形象"のずれ"。 僕の脳内にどんな感覚をもたらすのか、楽しみです。

     ネギちゃんも橋本さんもそして、もちろん、藤田さんもこの一年、元気で幸せな日常をおくれますように。
     それらが、藤田さんの音楽にさらなる飛躍をもたらしますように。
              敬具

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  2.  Daisukeさん

     あけましておめでとうございます!

     今年もたくさん音楽に関わっていけたらと思いますが、Daisukeさんのように理解し応援してくださる方がいてこその演奏活動です!自分のためにも応援してくださる全ての方のためにも、ますます精進していきたいと思います!

     収録は難しいです。昨日は仕事帰りにカーステレオで放送の最後の部分を聞きましたが、前回と同じく現場で自分の耳で捉えた音とは違うもののように聴こえたので、例えどんなに恵まれた会場や楽器、音響のスタッフさんが揃っていても、全てに満足がいくことはないのではないかと思ってしまいます。でもDaisukeさんの言うように、後世に残すことができる。きっともっと科学が進歩したら、音の質や演奏者の姿まで再現できるような技術が生まれると思いますが、今の記録媒体でも残せるということはすごいことですよね。だから後世に残しても恥かしくないような演奏を、これからも追い求めていきます!

     今朝はまた雪が積もりましたね。youtubeで雪に大はしゃぎの猫の動画を見ましたが、そのうちネギも雪の積もった庭に出してみようかと思います。寒くて一目散に逃げ帰ってきそうな気もしますが。(笑)

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  3.  何年も前、ヤムヤムの前の猫は雪が積もった銀世界を窓越しに興味深そうに眺めていたので、窓を開けてあげました。冷気が室内に入って来て寒いのですが、それでも飽かずに眺めています。が、庭に降りる気配はありません。
     短い猫生を一度も雪に触れずに終えるのはかわいそうだと思い、後ろから脇の下を抱きかかえて、雪の厚そうな所目がけてそっと放り投げて上げました。 
     着地した途端、ギャッと言って部屋に跳んで帰って来ました。 
     その後、しきりに肉球を舐めていたので、やっぱり、雪は肉球には冷た過ぎた様です。(笑) 
     聞くところによると、犬は雪道のお散歩が好きな犬も多いそうだから、動物は皆、雪が嫌いという訳ではないと思うのだけれど、猫はこたつがお似合いかな。歌のとおりです。(笑) 

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