2010/01/24

車両に一人っきり

 今日は仕事への行き帰りにつくばエクスプレスに乗りました。天気もいいし車内からの眺めもよくて、ちょっとした遠足気分でした!それに日曜だからなのかとても空いていて、私が乗った車両は他に一人の乗客もなく、道中のんびりできました。

 日本では車両に一人きりでも貸切気分ですが、パリでは一度怖い経験をしたことがあります。まだ寒い時期でした。パリ市内の友達の家でパーティーがあり、郊外のホームステイ先に帰ろうとRER(高速地下鉄)に乗ったのが23時頃だったでしょうか。その路線は移民の乗客が多くてスリなどが多発しているとは聞いていたのですが、まだ留学したてで怖い目にあったこともなかった私はすっかり油断していました。RERに他に乗客はなく私は一人っきりでしたが、しつこい物乞いや体臭のきつい外国人がいるよりマシかとウトウトしかかった時、移民らしい二十歳くらいの男の子が乗ってきました。背が高くがっしりとした体つきの彼は、私のすぐ近くの席に座ってしばらく窓の外を眺めていましたが、郊外に入り一駅の区間が長くなってきた頃に立ち上がり、いきなり服を脱ぎ始めたんです。ダウンジャケット、セーター、シャツを脱いで完全に上半身裸になった彼に「これはヤバイ!」と思った私は、とりあえず離れた席に移動したのですが、脱いだ服をそのままに彼も近くに移動してきて、私のいるまさに隣のボックス席でゆっくり手を上げたんです。「ものを取られるだけじゃすまないかも・・・」と思ったものの次の駅まではまだ5分以上あったし、車両と車両の間は移動ができないようになっていました。ああいう時って本当に力が抜けて声も出せないんだと実感しましたが、何もできない私からじっと目を離さず、彼は上げた手で座席上の荷棚を掴み体を浮かしました。そのまま椅子の背を飛び越えこちらに襲い掛かってくるのではないかと思った瞬間、彼はニッと笑って荷棚で懸垂を始めたんです。心臓が止まるかと思ったほどヒヤッとしましたが、そのまま次の駅まで彼は何事もなかったかのように懸垂を続けました。次の駅で他の客が乗り込んできても彼は懸垂を続け、私は慌ててその車両から人の多い車両へ移動して事なきを得ましたが、終点に着いてみんな降りてしまっても、まだ彼は上半身裸のままひたすら懸垂を続けていました。彼が私を怖がらせたかったのか、ただ本当に懸垂したかっただけなのかはまるで分かりませんが、海外で夜遅くに女性が一人でうろついていてはいけないし、車両に一人っきりでいるのは危ない目にあう可能性もあるんだと身に沁みた一件でした。

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